宝島のような。
なんというんだろ。
「ソラ型循環農業の縮図」かな。
何十種類もの野菜、果樹、穀物が
ミニチュアセットのように栽培
されている。
佐那河内の前村長がなにかの挨拶で
「昔はいろんな作物が作られていて、
年中いろんなものが採れて佐那河内は
それはそれは豊だった。みかんがいい、
儲かるということで多品種農業は
消えてしもた。」と。
高地性農業ではそれがいまも息づいて
いるわけです。
シニアカーでとことことおりがかった
おじいちゃん、
「なんのあつまりで?」
「こういう農業を見せてもらいよんです」
「世界で評価されよんですよ」
「秋には国連の人連れてくるけん」
「すんません騒がせて」と林さん。
「こんなんがええんで?」
「むかしからこんなんじょ?」
「ほうでー」やいうて喜んでくれる。
「ここはおじさんの畑?」
「ほの上の家のんじゃ」
道の下にはさらに果樹園も続く・・・
この次がすごかった。
農地の中に小島のようにうかぶ。
これも「入らずの森」。
ここは本当に簡単には入れないように
垣で巻かれて一段高い丘になっている。
コケが生えた土は、結晶片岩が風化した
もので、いわば栄養のカタマリなんだそう。
周囲ぐるり360度を畑が囲むいわば
「円形農場」。
大昔、狩猟採取生活だけでは暮らして
いけない人口に地球的に達した頃、
世界中で同時多発的に「農業」が
生まれた。と、ものの本で読んだな。
で、定住が可能になって。
安定すると今度は効率を求め始め
農地は枯れて地力が下がり、連作に
耐えられなくなって、また移動しな
がらの農業になり。
農地をいくつかに分割して、季節ごとの
農耕期、なにもせず休ませる時期、放牧
で土を育てる時期と、土地の役割を順番
に変えていく「三圃式農業」が生まれた。
で。
この円形農場は、入らずの森を中心に
まさに循環しています。
季節ごとに順番に作物を変えての輪作。
たしかに休ませているエリアもある。
苗木のエリアもある。
いとおしそうに土を触る野田先生。
一段下の茅場で、ここを耕作している
一人のおばあさんがカヤを刈っている。
ご主人がなくなって途方にくれている
という話、休みになったら息子さんが
もんてきて手伝うてくれよるはなし・・。
「町に出たけど帰ってきたい潜在農民は
実は多いんです」と林先生。
そのためには集落ごとに生活を支える
いろんなプロのワンストップ情報提供所
がいるんよな。と、野田先生。
もう一回「入らずの森」
こういう場所が、無数の有用微生物、
菌、抗生物質に満ちているというのは
書いたけど、ここで野田先生またすごい
ことを。
この農地の真ん中の森の土中のいろんな
もんが、長い時間かけてこの回りの
農地に染み出していっきょんよな。
土の中の遺伝子がな・・・。
遺伝地理学いうてな・・・。
うわー。
肥料まくとか耕すとかいった次元と
ちゃうぞ話が。林業家の世代を超えた
連携よりも果てしない太鼓から未来への
遺伝的農業・・・。
まだ続きます。